ミシシッピー殺人事件の会話集
・ ゲーム中でそれぞれの容疑者に「あのひとについておしえてほしい」と尋ねたときの反応です。それぞれの会話はゲームの進行度合いによって変化します(全3パターン)。読みやすいよう、句読点と漢字の変換はこちらで行いました。またディジーの語尾の修正もしてるので、原文とは少し雰囲気が変わってしまったかもしれません。
・ 悪口だらけで、言うことがコロコロ変わる。それにしても、パールおばさん、いったい何者なんだ……。
ディジーについて
ディジー | その1 | 私はただニューオリンズのパールおばさんのところへ行くために川を下って旅をしているのよ。 |
その2 | パールおばさんのオクラのスープは最高よ。あなたもきっと好きになるわ。 | |
その3 | ああ、この川の空気は、なんて澄み切っているのでしょう。心の中まで爽快になりますわ。 | |
テーラー | その1 | 彼女は乗ってなかったんじゃないの? 若くてかわいい売春婦よ。 |
その2 | 彼女とは少し話したのですけど、きっと関係がないと思いますわ。でももしかしたら? | |
その3 | 水がゆっくり流れているわ…。南部のベルの眺めは素晴らしいでしょうね。きっと彼女は殺されたあの人を知っていたのじゃないかしら。 | |
ネルソン | その1 | ディジーさんですか? ニューオリンズにいるおばさんに会いに行く途中だと伺っておりますが。 |
その2 | 彼女のおばさんの作るオクラのスープは本当に美味しいですよ。 | |
その3 | パールさんは私にあのオクラのスープの作り方を教えてくれたんだ。彼女は若くてかわいいところもある。料理も素晴らしいもんだ。明日の夕食に出してあげよう。考えるだけでもよだれが出そうだよ。 | |
ヘンリー | その1 | さー、新しいお客さんじゃないですか? |
その2 | 彼女のパールおばさんの料理はかなりいけるね。 | |
その3 | 俺にディジーみたいな若い恋人がいれば、どんなに自慢できただろうなぁ。 | |
カーター | その1 | 若い女性に会ってもあまり楽しいとは思わないのですが、彼女とは知り合いになりたいですねぇ。 |
その2 | あの子は関係ないですな。あれは単なる売女にすぎません。プロの判事の直感ですよ。 | |
その3 | 私の故郷にも彼女のような毛皮をまとった売春婦がたくさんいたものです。普通、売春婦はよくわからないという人が多いが、私には長年の経験でわかるのです。 | |
ヘレン | その1 | その若いご婦人にはお会いしたことなどありませんわ。でも彼女は私の好みの人ではなさそうですね。 |
その2 | ディジーはとてもいい子ですよ。わたくしにきちっと挨拶をしてくれますしね。 | |
その3 | なんてかわいらしい子でしょう! パールおばさんのオクラのスープの秘訣を教えてくれましたわ。ベルギーのチシャを入れるのよ。わたくしのとっておきの料理にしたの。それに彼女はあなたもご存じでしょうけど、とても有名でしたわ。 | |
ウイリアム | その1 | さー、よく知りませんな。あの女性が寄付に興味があるように見えますか? |
その2 | ディジーは寄付をしたくっても、余裕がないって言ってたな。彼女自身も孤児だったそうだし、貧乏なのだろう。 | |
その3 | 彼女は彼女のおばさんのオクラのスープの作り方を教えてくれたよ。でも未亡人や孤児たちはもっと中身のたくさん入ったスープのほうが好きなのですよ。 |
テーラーについて
ディジー | その1 | そんな人は知らないわ。私はパールおばさんに会いに行くだけよ。 |
その2 | 感じのいい人ですね。パールおばさん好みの人だわ。 | |
その3 | 同上 | |
テーラー | その1 | まあ、この川の空気ったら眠くなるわ。あらっ私ったら眠っていたのね。今朝なんて10時ぐらいまで寝ていたんじゃないかしら。 |
その2 | 父が亡くなってからはけっこう苦労しましてね。今のようになるには大変でしたわ。 | |
その3 | 私の生まれた西部では人々はここよりずっと開放的で正直なのよ。 | |
ネルソン | その1 | 彼女はすごく陽気で、快活な人のようですね。ネバダの出身だったと思いますよ。 |
その2 | そういえばこんな話を聞いたことがありますね。彼女の父親は誰かに騙されたのが原因で、自殺したんじゃないかって。 | |
その3 | 彼女は目立つ人ですね。とても強い人だし、きっと生き残れるタイプですよ。 | |
ヘンリー | その1 | 彼女は本当に素晴らしい人だよ。実にかわいいし、あんなに立派な人が悪いことをするなんて考えられないね。 |
その2 | 確かにテーラーを愛しているよ。しかし彼女は俺が想っていることもこうして乗組員として働いていることも知らないだろうなぁ。 | |
その3 | 俺は彼女のことが・・・・ゴールデン、あ、いやテーラーのことが好きなんですよ。でも彼女は俺のことなんか覚えてないんだよ… | |
カーター | その1 | テーラーさんですか? えーとテーラーさん・・・あっあの下品な若い女か。洋服の着方などから分かりますよ。彼女はネバダの出身と聞きましたが、この旅行で初めて会った人です。 |
その2 | あの人は誰かを恨んでいるのでしょうな。きっとお父さんの財産関係でしょう。 | |
その3 | テーラーのような人は法に触れても動じない人です。 | |
ヘレン | その1 | 平凡なこと! 彼女も西部の出身らしいけど、卑しい家の生まれですわ。あんな田舎者に何ができるんでしょうね。 |
その2 | あの売春婦はブラウンさんに何か恨みを持っていたか、彼のお金が目当てだったんじゃない。 | |
その3 | 彼女はどんなにひどい女か! 犯罪者! 陰謀家! あの人は世界を自分で回していると思っているのよ。あんな人の言うことを信じる人がいるのかしら。 | |
ウイリアム | その1 | 彼女はたしかに魅力的な女性ですな。大変物静かで、控えめな人だしね。たぶん男を挑発しているんじゃないですか。まあ私は歳を取りすぎて関係ないが、皆さんはどうでしょうな。 |
その2 | あの夫人の態度には芯があってしっかりしている。あれは褒めるに値するね。そう思わないかい? | |
その3 | たぶんテーラーは気難しくて、頑固なところがあるのだろうな。彼女のような階級の人はよく知りませんがね。しかし、彼女はよく寄付してくれますよ。 |
ネルソンについて
ディジー | その1 | 彼はこの船の船長なんでしょ。 |
その2 | たくましくって強そうな人。私、ああいう人、好きよ。 | |
その3 | 同上 | |
テーラー | その1 | 彼はちょっとおせっかいね。 |
その2 | 船長は今日すごく機嫌が悪かったようですわ。何か困ったことでもあったのかしら。 | |
その3 | 彼は頭に血が上っているんじゃないかしら。なにか隠しているみたいよ。 | |
ネルソン | その1 | この船のようなリバーボートの船長という仕事はけっこう疲れるんですよ。操舵室で寝ることや食事をすることがけっこう多いのでね。 |
その2 | 誰から聞いたのか忘れましたが、今朝ブラウンさんの部屋が騒がしかったそうですよ。 | |
その3 | この旅行はとても楽しいものだ。もうその鬱陶しい事件のことなど、考えたくないね。 | |
ヘンリー | その1 | 船長についてなんか言えないよ。やっぱり厳しい人だからね。それに情け容赦のない人だしね。それだけだよ。 |
その2 | あの人はよく仕事をするし、すごく厳しいんだ。でも差別はしないよ。 | |
その3 | 俺は船長を心から信頼していますよ。働かせてもらっているし、報酬もくれるのだから。 | |
カーター | その1 | ネルソン船長は立派な方ですね。本当に立派な方ですよ。この船の所有者のひとりなんですよ。才能ある航海士だしねぇ。実に才能がおありになる。もちろん、過去にひとつやふたつ、はっきりしないことはあったけどねぇ。聞くところによると、法にかかわるそうだが、しかしまあ全ては昔のことだ。いやいや彼は全く立派な人物だよ。 |
その2 | ええ、確かに彼とトランプで賭けをやってましたよ。まああまり上手いとは言えませんがねぇ。でもブラウンほどじゃないにせよ、けっこう抜け目なかったなぁ。 | |
その3 | 船長のような人は褒めるに値します。彼はいつもカードに喜んで付き合ってくれる。彼がいなきゃこの旅もつまらなかったでしょうね。 | |
ヘレン | その1 | 船長は立派な人だわ。有能だし、寛大だし、愛想も良いし、礼儀正しい方だわ。あんな噂一体誰が信じますか。彼はとても良い人よ。誰が何と言おうと、立派な紳士というのはほかの人とは違うものよ。私は宝石を船の金庫に保管してもらうために船長に渡したのよ。彼は正直な人に決まってるわ。 |
その2 | ネルソン船長は自分の立場をわきまえている限りは、立派な人ですわ。 | |
その3 | あの船長は頭が切れるわ! 私にも恭しくって礼儀正しいのよ。素晴らしいわ! | |
ウイリアム | その1 | 船長は私のことをバカだと思っているようですが、あの人はちょっと不愛想すぎるし、カリカリしすぎますよ。それに最近彼に造船代をいくつか売ったんですが、仕事に関しては抜け目なくやるしね。しかし彼のよくやる悪意を秘めたあの態度は止めてほしいですな。 |
その2 | 彼からもらった株の代金についてはよくわからないな。でも私の方が疑いすぎているような気もするが。 | |
その3 | 私は彼の悪口は言いたくないが、ニューオリンズに着けば、彼が信頼できる人かどうかわかるでしょう。 |
ヘンリーについて
ディジー | その1 | 誰なのその男の人、有名人? |
その2 | かわいい男の子ね。ちょっと汚らしいけど。 | |
その3 | 彼は少し不愛想な感じだわ。でもほんとはよく知らないの。 | |
テーラー | その1 | 彼についてはあまり存じませんわ。船員さんなんでしょ。 |
その2 | えっ、ヘンリー? 知ってますわ。貧しくて学校も出ていないけど、とてもいい人よ。ああいう人を本当の紳士っていうのね。 | |
その3 | 彼はやさしくて強くて一番頼りがいのある人ね。 | |
ネルソン | その1 | とてもいい船員ですよ。ヘンリーはしっかりしているし、信用も置けるし、まじめな奴ですよ。しかし、ちょっと分からないところがありますね。お判りでしょう、そんなに詳しくはお話できませんが、彼はブラウンの息子だということらしいです。かわいそうな話ですが、私生児なんですよ。だが、あいつが悪いのではないんですしね。 |
その2 | あの事件のとき、やつはエンジンをいじっていたよ。エンジントラブルがあってね。それでスピーカーでやつと話していたんだ。やつはやってないよ、そのときエンジンルームにいたんだから。 | |
その3 | 同上 | |
ヘンリー | その1 | 俺はほとんどの時間、デッキやエンジンルームで働いているんだ。どこでも俺が必要なんだよ。いつもと変わったことはなかったけど、今朝エンジンが故障しているようだったので、デッキの下に降りていったんだ。だから俺は何が起こったのか全く知らないんだよ。 |
その2 | 俺はエンジンルームをきれいにするのが仕事だが、いつもきれいにしとくのはちょっと無理だな。 | |
その3 | 俺は真剣に仕事をしているんだ。まさに仕事一筋だよ。こういう仕事をしていると、厄介なことにも出会うが、俺はやりこなしている。ちょうど機械には強いから今の仕事が気に入っているよ。 | |
カーター | その1 | ヘンリーですか? あいつは人間のクズですよ。下品で無教養で信用できないやつですからね。私がこのように言えるのは、私が有能な判事だからですよ。あいつはこの船がどこで船が泊まるのかさえ教えてくれませんでしたよ。犯罪でも起こしかねないのがお分かりになるでしょう。しかしまあ彼について特別いろいろと知っているわけじゃないですがね。ただ、ああいう人間だと・・・。 |
その2 | よく見ていると、彼は何か殺しに関係がありそうだな。 | |
その3 | 彼のことなど信じられない。あの手を見てごらんなさい。ごまかし、盗み…そんなことが得意そうな手だ。 | |
ヘレン | その1 | ああいった人たちとはお付き合いしたくないわ。たかが雇われ船員ですしね。彼のような人のことをお聞きになるなんて侮辱ですわ。それにあの人ったら売春婦のようなテーラーに言い寄っていましたわ。もう他に言うことなんてございません! |
その2 | あの男と売春婦のテーラーはこの船を汚すようなことをしているのよ。あぁ、恐ろしい。 | |
その3 | あんな人のこと、話したくないわ。どこにでもいるような不潔で淫らで下劣な…。 | |
ウイリアム | その1 | ヘンリーはかわいそうな若者なんです。私は彼に妙な親しみを感じるのですが、きっと人生に迷っていたんでしょう。そして彼は強く誘惑されてやってしまったんですよ。あまりにも強い誘惑に駆られて・・・。 |
その2 | ヘンリーはひねくれたやつだ。お金もなければ、常識もないし、頭もよくない。目立たぬ労働者というところだな。 | |
その3 | 彼は私の射撃のことをずいぶん批判しているようですな。彼とは馬が合わないね。 |
カーターについて
ディジー | その1 | カーターさんですって? わくわくするわ。でも私、彼のことは全く知らないの。 |
その2 | あの人はちょっと怖いわ。わかってくれるう? | |
その3 | 大酒飲みなんでしょ、その人。噂を聞いたわ。そのうえ野蛮人よ。 | |
テーラー | その1 | あの判事さんね。知っていると思うけどちょっとお酒の量が多すぎるんじゃないかしら。昨日の夕食のとき、彼は息が荒かったわ。 |
その2 | 今まで気が付かなかったけど、彼ってすごく悪い人のようだわ。もしかしたら人殺しだって…。 | |
その3 | 判事さん? あの人は厳しくて意地悪で残酷だそうですわね。 | |
ネルソン | その1 | あの有名な判事のカーターさんですか? ネバダでは彼は能無しとか言われていたようですね。まあ私が聞いたことなんですが。 |
その2 | 彼とトランプをしていたのは本当だよ。彼がイカサマをしていたかどうかははっきりわからないが。でも考えられるね。 | |
その3 | 私は彼に裁判の費用を借りたこともありますよ。あの時は彼は酒を呑んでひどく酔っていたようだが、馬鹿げたポーカーをやっていたんですよ。 | |
ヘンリー | その1 | さー、知りませんね、そんな人。 |
その2 | 彼はとても優れた判事だと思うよ。でも昨日彼の部屋に3本もブランディーのビンがあったから片付けたんだ。ちょっと大酒飲みだよ! | |
その3 | あんなに好奇心の強い人はこの船では初めてだね。彼の方があなたよりも探偵らしいと思いませんでしたか? | |
カーター | その1 | 今ちょうど私は仕事で旅をしているのです。ちょっと重大な秘密事項でしてね。重要人物が関係しているということしかお話できませんな。えぇ大変地位の高い人物でしてね、もし私の言っていることがお分かりならこれ以上詮索するのはよした方がいいですな。 |
その2 | 私のことを無情な判事だという人がいるなんて本当だろうか。信じられないですね。私は根はやさしい人間なのに。 | |
その3 | そりゃ私だって悪いことをするときもある。酒飲みだしね。そんなときは自分が判事だってことをすっかり忘れてしまうのですよ。 | |
ヘレン | その1 | カーターさんは人一倍法を重んじる人ですわよ。まるでソロモンやキケロ法廷のペエリクレスのようだわ。彼のことをいくら褒めても褒めすぎることはありませんわね。あの方と仕事でご一緒することは本当に楽しみなことですわ。 |
その2 | あの判事さんは立派な人ですわ。たとえ彼が非難されていても、私は気にしませんは。彼は立派な人ですもの。 | |
その3 | 前にも言ったけれど、彼はすごい人なんですよ。彼の判断は確実なものよ。それにとても背が高いわ! 背の高い人は好きだわ。 | |
ウイリアム | その1 | あいつはひどい奴です。アメリカ法学が戦わなければならない邪悪な怪物ですよ。あいつは自分勝手だし、残忍なやつです。いいですか、あいつとあのブラウンとの間には何か隠された関係があるはずです。言っときますが、あいつらが人のためになることなど、これっぽっちもしてやいませんからね。 |
その2 | カーターは乱暴なやつだよ。本当さ。お酒も良く呑むしね。 | |
その3 | カーターは疑ってもいい人物のひとりだと思うね。まあよく調べてみるべきだね。 |
ヘレンについて
ディジー | その1 | 彼女に会えるのは楽しみなの。でも会ったことないのよ。 |
その2 | あまり好きじゃないわ。プライドが高くって、ツンツンしてるもの。 | |
その3 | まあヘレンの服のおしゃれなこと。あの方にはプライドがあるし、畏れ多いって感じてしまうわ。高慢だけど素晴らしい人よ。 | |
テーラー | その1 | あの上流階級のご婦人のことを言っていらっしゃるの? もちろん、あの方は私のような人間とは口もお聞きにならないわ。やっぱり彼女は相当お金持ちなんでしょうね。 |
その2 | 彼女は自分のことをくよくよ考えるほうで、それで殺されたブラウンと何か関係があったのかも…。何か秘密でも? | |
その3 | 彼女は自分のことをくよくよ考えるほうで、それで殺されたブラウンと何か関係があったのかも…。これしかわからないわ。 | |
ネルソン | その1 | さー、よく知りません。 |
その2 | あの中年のうるさい女ですか。彼女はマナーは悪いし、意地の悪い女ですよ。まあとにかく私の印象ですがね。あまり彼女には会いたくないですね。 | |
その3 | いつもあの人は金と権力を持っている。しかし、そういうのはときどきカチンとくるね。彼女に味方するような人は嫌いだね。彼女には全然温かみがないよ。 | |
ヘンリー | その1 | 彼女は信じられないほどのお金持ちだよ。彼女の船室は洋服でぎっしりだからねぇ。それに彼女が船長の金庫に入れてもらった宝石は信じられないぐらいあったよ。でも彼女は親切らしいね。 |
その2 | 最近彼女がこの航路を所有していると聞いたんだ。しかも彼女は亡くなったあの人と友だちだったらしいよ。こんな話でも役に立ちました? あの人は俺のことをじっと見るんだけど、あんな人に会うの初めてだしなぁ。 | |
その3 | あの人には驚かされるよ。権力を持つ人は何か人の命に係わることをするのかもしれないね。俺には関係ない世界だけどね。 | |
カーター | その1 | あの女性はとても素敵な人ですな。彼女とはよく話をするんですよ。彼女は素敵だし、道徳的ですしな。それに若く見えますよ。これまでに罪を犯したこともないし、人の道を外れたこともない人ですな。大きなことであれ小さなことであれ。どんなことでも非難されることが彼女にとってもっとも嫌なことらしいですね。でも彼女のご主人がどうして亡くなったのかは誰も知りませんね、不思議なことですなぁ。 |
その2 | ヘレンのご主人についてですか? 年老いた彼は気難しく頑固でしたな。ヘレンは彼が死んで内心ほっとしているんじゃないですか。土地の所有権などもすべて彼女のものになりましたしね。 | |
その3 | 前にも言いましたがヘレンは大した人だ。有力者で、富や才能もある。私は彼女を軽率には扱えません。 | |
ヘレン | その1 | わたくしは耳がいいんですわよ。今朝だってザブンっていう音が聞こえて何かが船から落ちたんじゃないかしらって心配してましたの。あっ! お話しなければいけないのはわたくしのことでしたわね。私は未亡人ですけど、自分のことは全部自分で出来ますのよ。小さな鉱山ですけど、金や銀を掘って利益を上げましてね。それでいくつかのリバーボートやサラブレッドをいろんなたおころに置いてますのよ。 |
その2 | まあわたくしについて尋ねて下さるの? でもわたくしはごく普通の人間よ。単なる未亡人で世のために頑張っているだけなのよ。そうするためにわたくしたちは生きているんでしょ。 | |
その3 | 言っておきますが、私は普通の女ですから、自分のことは自分でしています。私はこの船の持ち主のひとりなんだけど、この事件は気に入らないわね。殺人の話は広がっていくのだわ! あぁ恐ろしい。 | |
ウイリアム | その1 | 金持ちの婦人でしょ。でも彼女は満足しているようには見えませんがね。いつも不満そうにしていますから。それに彼女はいつも私を社交界に出させようとするのです。まったく、時間の無駄ですよ。でも彼女のつけてる香水の香りはいい感じです。きっと珍しいものなんでしょうね。 |
その2 | ヘレンは金持ちのようだが、いつも満足せずに欲を持っているね。私を社交界に参加させようとしているが、まったく時間の無駄だ。私はあのコロンの香りは好きだが、あの香りに付きまとわれているのかもしれないな。 | |
その3 | 誰でも彼女には憧れを抱いてしまうようだね。彼女の香水の香りがそうさせるのだろうか。 |
ウイリアムについて
ディジー | その1 | 彼には一度も会ったことないと思うわ。 |
その2 | みんなが言ってるわよ。彼は自分のピストルで射撃の練習をしてたから、あの事件と関係があるんじゃないかって。 | |
その3 | あの人は鳥を撃つらしいわね。そんなかわいそうなことするなんて、想像もできないわ。 | |
テーラー | その1 | 本当にやさしい人ですわ。彼はきっとハエも殺せないんじゃないかしら。でも毎朝船室の前で鳥を撃っていらっしゃるわね。 |
その2 | さー、よくわからないけど、博愛主義者のわりに射撃をして鳥を殺していますわね。 | |
その3 | 彼は本当に他人のことを考えているのかしら。 | |
ネルソン | その1 | ウイリアムさんは純粋なボランティアだし、それに人の道を反れたりしない方ですよ。しかし彼はよく射撃をしてますね。そこの自分の船室の前で鳥を撃ってますよ。きっとスポーツマンなんでしょう。 |
その2 | 彼のピストルを見たことあるかい? コルト式だ。鳥を撃つものではないな。 | |
その3 | 銃で鳥を撃つなんて、本当に変わったやつだね。 | |
ヘンリー | その1 | ここだけのは話だけど、彼はちょっと恐ろしい秘密を持っているみたいなんだ。いつも少し悲しげで、元気がないみたいだろ。それに彼は絶対ににこりともしないね。あんたも気がついているだろ。たぶんこれがいつも射撃をしている理由なんだろうね。毎朝バン・バン・バンって鳥を撃っているよ。あれは普通じゃないね。 |
その2 | あの人は俺のことをじっと見るんだけど、あんな人に会うの初めてだしなぁ。 | |
その3 | ウイリアムのような人は、この船に乗っていてもいつだって自分を見つめることができるようだ。変な人だよ。 | |
カーター | その1 | ウイリアムさんは見かけ通りの人ではないですな。外見はまさしく純粋なボランティアのようだが、正当な寄付をするときなど、彼はすごくケチになるんじゃないかな。しかし、かれがアウター・アンティルの施設にすすんで寄付されていることは知っていますよ。 |
その2 | 実はウイリアムさんの仕事を1、2回したことがあるんですよ。ひどく値切られましたがね。その時に分かったのですが、彼は若いころに何回か犯罪を犯していましてね…。いや、しかし今は立派なスポーツマンですよ。 | |
その3 | 私などは彼と一緒に仕事をしたいとは思いません。だが、人は彼と仕事をしたがる。それはきっと彼がお金を貯める方法をよく知っているからでしょうね。 | |
ヘレン | その1 | あの方は表面上は立派なように見えるけど、実はバカね。わたくしがいつも社交界に出ていくべきだわっていうのに、自分じゃ何もできないの。鈍いのよ、彼は。 |
その2 | 同上 | |
その3 | 年寄りの馬鹿だわ! でも女にゴマをするのだけは人一倍優れているのよ。 | |
ウイリアム | その1 | 静かに暮らし、神との対話を続けることこそ良いことだと信じています。そしてそれは私の務めだと思っています。 |
その2 | 今思うと恥ずかしいが、若いころとんでもないことをしてしまったんですよ。あから今は自分自身を抑えるということで、その埋め合わせをしようとしているのです。ただ私が射撃が好きだからって、疑われるのはおかしいじゃありませんか。 | |
その3 | 私は贖いや罪滅ぼしのために生きているのです。それが私の人生ですよ。 |
ひがいしゃについて
ディジー | その1 | まあなんて恐ろしい。私は一度もブラウンさんにお会いできなかったわ。こんなに恐ろしいことが起こるなんて。 |
その2 | 立派な人だと聞いていましたわ。でもどうして殺されちゃったんでしょ。 | |
その3 | 同上 | |
テーラー | その1 | なんて恐ろしいことが起こったのでしょう! ブラウンさんとはあまりお会いしたことがないのでよく知りませんが立派な人だと聞いています。 |
その2 | たしか数年前、ネバダ州の外れでブラウンに会ったことがありますわ。でも私はまだ幼かったので、ほとんど覚えていませんの…。 | |
その3 | 同上 | |
ネルソン | その1 | な、なんですって。ブ、ブラウンが・・・なんてことだ。彼はこのボートの共同経営者なのに・・・。 |
その2 | 死んでしまった人のことを話すべきではないのですが…。彼はあの貧しい女テーラーを狙っていたのだと思うのです。私は彼がテーラーについて話していたのを聞いてしまったのです。 | |
その3 | 同上 | |
ヘンリー | その1 | 信じられないよ、こんなこと…。でもこうなったらいろいろと話しとくよ。今朝、彼の船室がちょっと騒がしかったんだ。でもあいつはいつも酔っぱらっているし、あまり気にしなかったんだ…。それとどうせあなたにはばれるだろうから言ってしまうが、実はあいつは俺の父親なんだ…。まあ親子らしいところなんて何ひとつなかったけどね。でも俺はやってないよ! |
その2 | やつの船室には確かに争った跡があったよ。もし彼女に手をかけたのなら俺自身の手で彼を殺してやったさ。 | |
その3 | 同上 | |
カーター | その1 | 殺害された!? 彼が!? まあ私も判事として協力しなければなりませんな。確か彼はサザン一家の主審だったな。2、3年前にちょっとした事件で彼を助けてやったことがあったよ。くだらない事件だったがね。 |
その2 | ブラウンが起こした事件のことを思い出したんだが、たしか鉱山のことについてだったぞ。そうだ、あれは銀山がどうのこうのという話だった。 | |
その3 | 同上 | |
ヘレン | その1 | 殺されましたの? あの勇ましい人が、あんなにハンサムだったのに。なぜあのような紳士が…。アメリカ中で一番立派な馬をお育てになったし、一番素晴らしいコットンも栽培されたのに、それにあんなにもお金持ちでいらしたのに…。 |
その2 | ブラウンさんは大変立派な人でした。でももう死んでしまったのよ…、殺されたのよ…。 | |
その3 | 同上 | |
ウイリアム | その1 | ああ、それはひどい。でもブラウンはケチでしたな。寄付の話など聞こうともしなかった。 |
その2 | かわいそうにねえ、私は施設に寄付してもらおうと、彼にお願いするつもりだったのに、なんてことだ。 | |
その3 | 同上 |